一緒に帰ろう。


首を横に振る私を見て、

「そっか。」

と一言だけ。


なのに、男の人はどこに行くこともなく
隣で私に、傘を差し続けている。


なんで?帰ればいいのに。



どれくらい経ったかな?
携帯も財布も何も持って来なかった自分に後悔したけど、今更取りに戻れないし"後悔先に立たず"。



もう何もかも限界で、座ってる自分にも嫌になる。

パッと立つと、いきなり立った私に男の人は少しだけ驚いた顔を見せた。

そして、

「一緒に帰ろう。」

って寂しそうな、悲しそうな顔で呟いた。

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