花音（かのん）

５日目の昼休み。
幸一がいつものように、松本夏樹と竹田圭吾と学食で昼ご飯を食べていた。
やはり話題は、テスト勉強だった。
竹田が「やっばいなあ。全然テスト勉強してない。」と言った。
「お前は？」と松本が幸一に聞いた。
「あ・・・オレもおんなじ。」
幸一が笑いながら答えた。
「つうか、幸一なんで最近一緒に帰らねえの？」
松本が箸で幸一を指しながら聞いた。
「いろいろ、あるの。」
「そればっかだし。」
すでに食事の終わった竹田が背伸びをしながら言った。
「科が違うといろいろあるんだよ。オレ就職組だし。」
「オレらだって進学できるかどうか分からないよなあ。クラスじゃ下の方だし。」
「お前と一緒にすんな。」
竹田がふんっと笑いながら言う。
「オレより成績の悪いヤツがよく言うよ。」
ぬるくなったお茶を最後に飲んで、松本が食事を終えた。
「ほら、はやく行こうよ。」
幸一が席を立ちながら２人をせかした。
のっそりと２人が立ち上がる。
昼休み、体育館は解放されていて、自由に使うことができた。
主に、ボールさえあれば、１人から遊べるバスケをすることが多い。
約束という感じではなく、昼食を食べ終わった人達から来て、遊んでいる。
幸一達は、今日もバスケをしに走って体育館へ向かった。