花音(かのん)
英語の教科書に、単語の欄があり、通常はノートに単語と訳を書くべきだとは思うが、
教科書の単語の下に訳が書いてあった。
カタカナの発音で、詩穂が単語を言う。
翔吾はほとんど答えられない。
「やっぱダメ。まだダメ。」
翔吾が詩穂から教科書を取ろうとする。
「ダーメー。英語は、3日目だから、後4日しかないんだよ。」
詩穂は教科書のページを、いきつ戻りつしながら、同じ問題や、新しい単語の問題を出していく。
そのうちに、クラスにも人が増えはじめた。
翔吾と詩穂の問題に参加してみたりする人も出てきた。
チャイムが鳴って、教室に全員がそろった。
詩穂が翔吾に教科書を返すと、ちょうど担任のカネちゃんがやってきた。
いつの間にか、幸一も席についていた。


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