花音(かのん)
詩穂が教室にかけこむと、すでに小松は授業を始めていた。
幸一が何かを書きかけて途中で顔をあげて驚いた顔をしていた。
小松も大げさに目をぐりっとまわして言った。
「あんた、帰ったんじゃないの?」
「なんで?」
詩穂が、自分の机の中から、教科書とノート、それから机の上にある辞書にささっているシャープペンシルと、消しゴムを取り出しながら聞いた。
「なんでって、カバンないじゃない。」
小松が言う。
「私、今日カバンなんて、持って来てないよ?」
「カバンなし!?」
「うん、わりと。」
頭痛いというように、小松は頭を押さえた。
幸一は、隣に座った詩穂と目があった。
ニコッと幸一が笑う。
詩穂も、はにかんだ笑顔を返した。
こうして、進んだのか、進まないのか、英語の勉強会は終わった。
「明日からはテストなんだから、自分たちで勉強しなさいよ。」
小松が教科書をとじた。
「じゃあ、先生に勉強習うの最後?」
詩穂も教科書とノートを閉じながら聞く。
「なんだ、さみしいか?」
小松がニヤッと笑って聞いた。
「先生の話し、結構分かりやすいよね。」
詩穂が、幸一に話しかけるように言う。
幸一もニコッと笑って肯定を示した。
「授業中も分かりやすいんだがなあ。」
「そうだったっけ?」
すっとぼける詩穂に、
「そうだよ。」
と言いながら、小松が教科書の面で、詩穂の頭を軽く叩く。
詩穂が教科書を机の中に戻していると、小松が言った。
「また、持って帰らない。」
詩穂は言い返す。
「進歩してるよー。前はロッカーだったんだから。教科書がカバンの中にはいるまで後少し。進歩進歩。」
3人で教室から出た。
小松はもちろん、職員室へ戻るし、詩穂と幸一は、下駄箱へ行く。
その分かれ道の所で、詩穂が言った。
「先生、今度は期末試験でね。」
小松は、ふん、と笑って手を振って去っていった。
幸一が何かを書きかけて途中で顔をあげて驚いた顔をしていた。
小松も大げさに目をぐりっとまわして言った。
「あんた、帰ったんじゃないの?」
「なんで?」
詩穂が、自分の机の中から、教科書とノート、それから机の上にある辞書にささっているシャープペンシルと、消しゴムを取り出しながら聞いた。
「なんでって、カバンないじゃない。」
小松が言う。
「私、今日カバンなんて、持って来てないよ?」
「カバンなし!?」
「うん、わりと。」
頭痛いというように、小松は頭を押さえた。
幸一は、隣に座った詩穂と目があった。
ニコッと幸一が笑う。
詩穂も、はにかんだ笑顔を返した。
こうして、進んだのか、進まないのか、英語の勉強会は終わった。
「明日からはテストなんだから、自分たちで勉強しなさいよ。」
小松が教科書をとじた。
「じゃあ、先生に勉強習うの最後?」
詩穂も教科書とノートを閉じながら聞く。
「なんだ、さみしいか?」
小松がニヤッと笑って聞いた。
「先生の話し、結構分かりやすいよね。」
詩穂が、幸一に話しかけるように言う。
幸一もニコッと笑って肯定を示した。
「授業中も分かりやすいんだがなあ。」
「そうだったっけ?」
すっとぼける詩穂に、
「そうだよ。」
と言いながら、小松が教科書の面で、詩穂の頭を軽く叩く。
詩穂が教科書を机の中に戻していると、小松が言った。
「また、持って帰らない。」
詩穂は言い返す。
「進歩してるよー。前はロッカーだったんだから。教科書がカバンの中にはいるまで後少し。進歩進歩。」
3人で教室から出た。
小松はもちろん、職員室へ戻るし、詩穂と幸一は、下駄箱へ行く。
その分かれ道の所で、詩穂が言った。
「先生、今度は期末試験でね。」
小松は、ふん、と笑って手を振って去っていった。