花音(かのん)
4時間目の終わり頃、保健室の先生が、寝ている詩穂の額に手をあてていた。
体温計は体温計でちゃんと熱を測るのに、
この保健室の先生は、額にも手をあてる。
「どうしようかねぇ・・・。ご家族の方の迎えは難しいのよねえ。」
「両親働いてます。」
「今、少し熱が下がったみたいだけど、帰れそう?
帰れそうだったら、早退の手続き取るけど。」
「今なら大丈夫そう。だから、帰るよ、先生。」
「分かった。4時間目が終わったら、教室から荷物取っておいで。」
すぐに4時間目の終わりを告げるチャイムが鳴って、
ガサガサと周りがすぐに騒がしくなった。
今から昼休み。
教室へ行くと、いつもお昼ご飯を食べる友達がすでに教室に居て、
すぐに詩穂を見つけた。
「詩穂大丈夫?ご飯食べられる?」
「うんん、今から帰るー。じゃぁね。」
なるべく、元気そうに言った。
「大丈夫?」
「気をつけてね。」
「早く元気になれよ。」
カバンを取って教室を出るまで、友達の言葉が見送ってくれた。
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