花音(かのん)
詩穂は、カバンあけて、定期と財布が入っていることを確認しながら言った。
「先生の奥さんがね、この間の展示会で私の描いた絵を見たかったんだって。」
「そっか美術部だっけ。」
「うん。それで、他の絵も見たいって。」
「すごいじゃん。」
「うん。嬉しかった。山下君は?」
「佐々木さん、今から暇?」
「・・・そりゃ暇だけど。」
詩穂はカバンをしめた。
「それは、良かった。一緒にテスト勉強しよう。」
「テスト勉強?」
「そう、英語。」
「英語?」
「うん。」
「私、英語はこの世に無くて良いと思ってるから。」
「それでも、テストはあるから。助っ人呼んであるから。」
「い・・・。」
「山下ー来てやったよー。」
拒否する前に、鼻にかかった声が教室に入ってきた。
「彼女も一緒に勉強するの?」
「うん。」
「や・・・やぁ・・・。」
詩穂は顔をしかめた。詩穂は教科の中で英語が一番嫌いだった。
ついでに言うと、中年というか、定年前といか、ともかくこの英語の女教師、小松も嫌いだった。
「ほら、勉強するならはやく持って来い。」
「ほら。」
幸一は机に座って、教科書とノートをひろげている。
小松は、幸一の座っている席の前のイスを後ろへ向けて幸一と向き合うように座った。
詩穂はしぶしぶ机の中から筆箱を出して、教室の後ろのロッカーへ行き、英語の教科書とノートを持ってきた。
「テスト週間なのに、筆記用具すら持って帰っとらんのか。」
小松が大げさに目をぐりっとまわした。
「家にも筆記用具ありますけん。」
そう言いながら詩穂は、幸一の隣の席にドカッと座った。
「それより、彼女誰ね。どこのクラス?」
詩穂は幸一を向いた。
「ここのクラスだよ。佐々木さん。ついでに、1年の時、同じクラスで先生の授業受けているよ。」
と、幸一が説明した。
小松はあごに手を当てて、詩穂をじっと見た。
「記憶に無いなぁ。まぁいいや、8ページから。」
「先生の奥さんがね、この間の展示会で私の描いた絵を見たかったんだって。」
「そっか美術部だっけ。」
「うん。それで、他の絵も見たいって。」
「すごいじゃん。」
「うん。嬉しかった。山下君は?」
「佐々木さん、今から暇?」
「・・・そりゃ暇だけど。」
詩穂はカバンをしめた。
「それは、良かった。一緒にテスト勉強しよう。」
「テスト勉強?」
「そう、英語。」
「英語?」
「うん。」
「私、英語はこの世に無くて良いと思ってるから。」
「それでも、テストはあるから。助っ人呼んであるから。」
「い・・・。」
「山下ー来てやったよー。」
拒否する前に、鼻にかかった声が教室に入ってきた。
「彼女も一緒に勉強するの?」
「うん。」
「や・・・やぁ・・・。」
詩穂は顔をしかめた。詩穂は教科の中で英語が一番嫌いだった。
ついでに言うと、中年というか、定年前といか、ともかくこの英語の女教師、小松も嫌いだった。
「ほら、勉強するならはやく持って来い。」
「ほら。」
幸一は机に座って、教科書とノートをひろげている。
小松は、幸一の座っている席の前のイスを後ろへ向けて幸一と向き合うように座った。
詩穂はしぶしぶ机の中から筆箱を出して、教室の後ろのロッカーへ行き、英語の教科書とノートを持ってきた。
「テスト週間なのに、筆記用具すら持って帰っとらんのか。」
小松が大げさに目をぐりっとまわした。
「家にも筆記用具ありますけん。」
そう言いながら詩穂は、幸一の隣の席にドカッと座った。
「それより、彼女誰ね。どこのクラス?」
詩穂は幸一を向いた。
「ここのクラスだよ。佐々木さん。ついでに、1年の時、同じクラスで先生の授業受けているよ。」
と、幸一が説明した。
小松はあごに手を当てて、詩穂をじっと見た。
「記憶に無いなぁ。まぁいいや、8ページから。」