夏色の風が吹く


休み時間は1年の時と同じで瑠輝と過ごすのだ。瑠輝と過ごしている時間は瑠輝以外の人のことを考えたことがないが、今は風瀬のことばかり考えてしまう。

「夏海、ボーッとしてどうしたの?」
と、少し心配そうな顔で見てくる瑠輝。
瑠輝なら何か知ってるかもしれない、と思い瑠輝に思いきって聞いてみることにした。

「あのさ、瑠輝と風瀬って結構話してたよね?」

「うん、話してたよ。それがどしたの?」

「実は、風瀬好きな人が居るみたいでさ、誰なのかな?っていうのがすごく気になって、瑠輝なら何か知ってるかな〜って思って聞いてみたんだけど、何か知ってるかな?」 と、少し首を傾げて聞いてみた。
すると瑠輝は少しポカンとしていた。数秒間だけ気まづい空気になってしまった。私は「まずい…」と思ってしまい「ごめん!」と謝ろうとした時に、瑠輝が口を開いた。瑠輝が言った事は驚きの内容だった。
「風瀬は、夏海のことが好きなんだよ。気づいてなかったの?1年の時クラスでずっと言われてたけど。」
私は一瞬何を言われてるのか理解できなかった、あの風瀬が私のことを好きになる理由なんて無いからだ。確かにクラスの人たちからは「お前ら付き合ってるんだろ〜?」とかよく言われたけど、ずっと否定していたし、風瀬と私は親友みたいな感じでお互い恋愛感情なんて抱いてないはず…。
考えれば考える程体が熱くなる、もしほんとに好きならば私はどういう感じで風瀬と関われば良いのかが分からないからだ。

「顔真っ赤じゃん。ほんとに気づいてなかったんだね。」

「だって、私と風瀬は友達だし、絶対有り得ないことだし、噂が立ったりしても否定してたし…」

「否定していたのは夏海だけでしょ?」

と、瑠輝から言われ、言葉が出てこなくなった。確かに否定していたのは私だけだ。風瀬が否定していないことはあまり気にしていなかったが、「風瀬は夏海のこと好き」と言う言葉を聞いた後に考えてみたらほんとに風瀬は私の事が好きなのかもしれない、と考えてしまう。でもそんな事絶対無いし、自意識過剰な気がする。

「瑠輝、きっとそれは勘違いだよ」と私はいつも通り笑顔を見せた。
瑠輝は「そういうことにしておくよ」と言い、いつも通り私と瑠輝は会話を交わしたのだ。

チャイムがなり、授業が始まった。授業中もやはり、風瀬のことを考えてしまう。前までこんなこと無かった。授業中私はずっと上の空だった、何も授業の内容は頭に入ってきていない。
(これからどうしよう…)
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