蒼春
乃蒼side

目を覚ますと、隣に先輩がいた。

…そうだ。私、泣き疲れて寝ちゃったんだ。

それにしてもあの時の男の子が先輩だったことにはびっくりだ。

「おはよ、乃蒼ちゃん。」

『せ、先輩!昨日はすみません!』

「いいんだよ。それより髪の毛…」

『あ、これは…』

「分かってる。無理に言わなくていいよ。」

先輩は独自のルートで、例の先輩を対処したらしい。


でも、私にはもう一つ引っかかっていることが。

『先輩、誰にピアス開けてもらったんですか…?』

「あぁ、姉ちゃんだよ。」

『…お姉さんいたんですね、びっくりしました。』

突然、家のチャイムが鳴る。

「ちょうどいいところに来たみたい。」

『?』

すると、玄関の方からすごく綺麗な女の人がやってきた。

「これが俺の姉ちゃん。」

『初めましてー。一ノ瀬紫音でーす。』

『は、初めましてっ!』

モデルのようなスタイルと小さい顔にびっくりして、緊張してしまう。

「今日は乃蒼ちゃんの髪の毛を切ってほしくて呼んだんだ。」

『そうなの!じゃあ早速あっち向いてー。』

『は、はいっ。』

情報量が多すぎて頭の整理が追いつかないが、紫音さんに髪の毛を切ってもらった。

『どう?いい感じじゃない?』

「かわいい。」

そう言って照れる先輩に私の顔まで赤くなる。

『あ、ありがとうございます!』

『いいのよー。あ、撮影が!じゃあまたねー!』

そう言って去っていった。
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