蒼春
他の人たちも、もちろん上手かったが彼には及ばなかった。彼が跳ぶ時、音が聞こえなくなる。

彼がアタックする瞬間、時が止まったみたいに、その姿が私の頭の中をループした。

彼がボールを打つ順番が来ると、自然と胸がドキドキする。


バレーを始めた頃みたいに…。



周りがキャーキャー言ってるのなんて全然気にならないぐらい、あの人に魅了させられていた。

こんなに感動したのは久しぶりだ。



『…やっぱ、私にはバレーしか無い…。』



30分ぐらい見てから体育館を出た。

そのあと他の部活を見に行ったが、全く情報が頭に入ってこなかった。

…いや、入る隙なんてどこにもなかったと言った方が適切かもしれない。



この日、ただただあの人のバレーをする時の光景だけが、ずっと脳内をループしていた。

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