蒼春
サーブ練習をしていると乃蒼たちが見ているのを見つけた。

お、来た来た。

ニヤニヤしながら見るとすんごい嫌な顔をされた。…まぁいつものことだ。

よし。乃蒼にもう一回バレーをさせよう作戦、開始!


「マネージャー、そろそろアタック練習しよーぜー。結構人集まってきたし。」

『そーね。全員集合ー!次、スパイクの練習しまーす。』

「蒼生、並ぼーぜ。」

「うん。」

まず、俺が飛ぶ。うん、今日も調子がいい。歓声も…いつもよりちょっと多いかな?乃蒼は…お、いいかんじじゃね?


次は蒼生の番だ。今日もフォームきれいだな。すげえ…。

そんで乃蒼は…完全に魅せられたな。これで少しはバレーやりたくなったかな…。

俺はバレーの推薦でこの高校に入ってきたし、県選にも選ばれてたから知っている奴も多かった。しかし、誰も蒼生のことを知らなかったから無名の選手だと思ってた…。

だけど一緒にミニゲームをしたとき、全員がこう思った。こいつただ者じゃない。動きが違う。みんなびっくりして蒼生に色々質問してたが、町のバレー部に入ってたと言っただけだった。

しかし、俺は気づいた。蒼生はとなりの県の県選だった奴だと。しかも戦ったことがあった。たった1人、目を引く存在だった。あの日試合を見ていた乃蒼もあの人みたいになりたいと言っていた。

俺はその本人が目の前にいればもう一回バレーをやりたいと思うのでは…と考えた。この作戦はうまく行ったのだろうか…。
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