蒼春
乃蒼side

突然、頭に何かが当たる感覚がした。

ん?全然痛くない。あれ…?

恐る恐る目を開けると、片方の腕で私の頭を守り、もう片方の腕で今にも落ちて来そうな箱を押さえている、

……一ノ瀬先輩がいた。


「よかった、間に合った。大丈夫?」

上から心配した様子で私の顔を覗き込んでくる。

『す、すいません!全然大丈夫ですっ。』

俯いて答える。

は、恥ずかしいいぃぃ。先輩を直視できないっ。


「1人じゃ無理だと思ったら、ちゃんと誰か呼ぼうね?危なかったんだから。」

先輩は、ちょっと怒ったような声で言った。

『すみません、次から気をつけます…。』

「ん、わかったならよし。」

私が反省した後、頭をポンポンっと撫でられた。この時、先輩のジャージから嗅いだことのある香りがふわっと広がった。

あれ…?ちょっと待って。この香りって、まさか…。

『あの、一ノ瀬先ぱ…。』

「おーい!蒼生どこだ?」

突然蓮の声がする。

あ、一ノ瀬先輩を探しにきたのかな?…っってちょっと待って!!今、私たちどんな体勢になってるの?

来られるとちょっとやばいんですけど…。


「お、いたいた。ってお前ら何してるんだよ。」

「お、蓮。いいとこにきた。今、身動き取れないから代わりにマネージャーのことよろしく。ほら、先に出な?」

頭に置いてあった腕がスッと離れて、私が出やすいように避けてくれる。

『あ、ありがとう、ございます。ほんとにご迷惑をかけてしまって、すみません…。』
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