蒼春
そう言って倉庫を出る。

助けてくれた上に、先に出させてくれるなんて…。

かごをもともと置いてあった棚に戻している先輩の背中を見つめる。

「おい、ボケッとしてないでタイマー持ってくぞー。」

蓮が声をかけてくる。

『は、はい。』

私は先輩の方を見ながら蓮に返事をする。さっき、私を助けてくれた姿が頭から離れない…。


みんなで体育館に戻ると、徳島先輩が私たちを見つけて声をかけてきた。

『遅かったけどなんかあった?』

「いや。やっぱり卓球台が手前に置いてあってさ。ちょっと手間取ってたんだよー。」

蓮が答える。

『す、すみません。』

『大丈夫だよ。初めてなんだし、卓球台って重いじゃん?そりゃ時間かかるよ。気にしないで?じゃあ、蓮たちは練習に戻ってー。』

「「はーい。」」


なんだかんだあったが、無事に練習が終わった。部員たちがコートを片付けてくれている間に、徳島先輩と話をする。

『今日はいきなりこんなことになっちゃって本当にごめんね…。実は私がマネージャーになった時もちょっと揉めたの、なんであんたなのって。』

『そうだったんですね…。』

『…うん。あの2人が入ってくる前はね、マネージャー志望の人なんか全然いなかったの。』

…だよね。普通バレーよりバスケとかサッカーの方が人気だもんね。

『でも、あの2人がバレー部に入った途端に仲良くなりたいっていう理由だけで志望した人たちって結構いっぱいいたの。』
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