蒼春
そして、金曜日の放課後になった。私は言われた通り部活に行き、高宮さんが仕事をやっているのを見ていた。

徳島先輩は、試合の事などを先生と話すために職員室に行っていた。


高宮さんは頑張って仕事をしていたが、分からないことが多かったのか困っていた。なので結局一緒にやることになった。

『高宮さん、一緒にやってもいい?』

そう声をかけると高宮さんは泣きそうな顔で私を見てきた。

『ごめんなさい、お願いします。』

『うん。初めてだし、わからないこと多くて大変だよね…』

そう言って二人で仕事をこなす。

高宮さんはひどく落ち込んでいて、私に謝ってきた。

『ごめんなさい、わがまま言って巻き込んじゃって…。先輩が言ってた通り、結局1人じゃ何もできなかった…。』

『大丈夫だよ?高宮さんはマネージャーに本気でなりたかったんでしょ?私もただ“経験者”ってだけで決められるよりも、ちゃんと実力で決めて欲しかったの。』

今まで思っていたことを素直に言う。

『だから高宮さんがそう言ってくれて嬉しかったの。だから気にしないで?』

『鈴木さん、優しいね。そう言ってくれて嬉しいよ…。』

『そういえば、どうしてマネージャーなりたかったのか、聞いてもいい?』

『うん。実は…。』


高宮さんには去年、この学校を卒業したお兄さんがいて、バレー部に所属していたらしい。彼女は何回も試合を見に行ってるうちに、選手を支えるマネージャーになりたいと思ったそうだ。
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