蒼春
教室に入るとすでに結構な人が来ていて、ざわざわしていた。
うぅ…。こんなに人が居ると緊張するなぁ…。この中でちゃんとやっていけるのかな…。
席を確認すると、楓は1番前の列の窓側、私は廊下側から3列目の真ん中の席だった。
あぁ、席離れちゃった…。なるべく知ってる人の近くがいいんだけどなぁ…。まあ、こればっかりはしょうがないか。
荷物を置いて椅子に座ろうとすると、廊下からいきなり大きな歓声が上がった。
「おい、見ろよ!モデルのYukiがいるぞ?!」
「うそだろ!?本物じゃんか!」
『キャーーーー!!Yukiちゃんだ!!』
『え、この高校に入るって噂はほんとだったんだ!?マジやばいじゃん!』
『近くで見ると可愛さ倍増してるんだけど?うわ、尊い…。』
そんな声が聞こえて、みんな気になって廊下に出ていく。
え、Yukiって誰?こんな近くに有名人いたんだ…。
そう思いながら私も廊下に出てみた。
そこには切りっぱなしボブで背が高く、いかにもモデルの雰囲気をまとった、綺麗ですらっとしている女の子がこちらに向かって歩いてきていた。
うわ、綺麗な人だな…。てかスタイル良すぎる…。さすがモデルだなぁ。
『うわー、ほんとだ!やっぱ実物の方がきれいだわ。』
いつの間にか楓が隣に来ていた。
『え、楓ちゃん、あの人知ってるの?』
『え、乃蒼、知らないの!?Yukiってあの有名雑誌の専属モデルでInstagramのフォロワー50万人超えのインフルエンサーだよ!』
『そーなんだ…。なんか住んでる世界がちがう人なんだね。』
キーンコーンカーンコーンー…
『あ、予鈴なったから席着くか。』
『うん。』
みんなが席に戻っていく。