アプリで出会った君へ
「あ、あのやっぱり大丈夫です!写真ありがとうございました」
女の子は更に頬をピンクに染めたまま
走っていってしまった。
結局名前すら分からないまま。
「もしかして告白だった・・・??」
横にいた智哉が申し訳なさそうに言う。
「いや写真撮っただけ。しかも名前も知らない」
「名前も知らないのかよ!!俺も知らない子だったなあ」
「まあもう会うこともないだろ」
「蒼真が東京行くなんて皆ショックだろうな。
はやく写真撮り行くぞ」
「おう」
もう一度満開の桜を見上げた。
(来年はこの桜は見れないだろうなあ・・・)
春は出会いと別れの季節っていうけれど
本当にそうだと思う。
3日後にはここを離れて東京に行く。