転生したら、魔王の側近でした
『主人……そろそろ力を封印してください!』
頭の中に、八咫烏の声が響く。
「……まだ頑張れる……」
ふらつく体を何とか支えながら、僕は呟いた。呪具の封印を解くことで威力は大幅に上がるけど、体にかかる負担は大きい。封印を解いてる時間が長いほど、死ぬ確率も高くなるんだ。
『限界に近いです。早く!!』
「……」
杖を握り締めて、僕は攻撃魔法を放った。
後、もう少しで全部倒せるんだ!早く、早く……倒さないと……!
「……ルーチェ。もう良い……」
傷だらけのクラル様が、魔王の剣を受け止めながら僕の方を見る。
僕は構えてた杖を下ろして、クラル様を見つめた。
「……もう限界なんでしょ?少し休むといい……」
「これくらいの数なら、俺一人でも倒せる」
「……はい」
僕は呪文を唱えて、力を封印する。その瞬間、体に力が入らなくなって地面に倒れ込んだ。僕の体を、リルが支えてくれる。
「……ルーチェ様、無茶しすぎです」
「ごめん……」
僕はリルに支えられながら、隅の方で戦いを見てることにした。
「……今回は、町を襲うのを止めてやる」
校長先生が駆け付けた時、魔王はそう言って逃げるように去ってく。
「次も全力で止めるから」