転生したら、魔王の側近でした
僕は、良くこうやって魔法薬を調合しているんだ。新しい魔法薬を開発したり、皆の役に立つような魔法薬を作ってる。

「あ……失敗した」

魔法薬は、綺麗な淡いピンク色から濁った色へと変化した。調合を間違えても、濁った色に変化するだけで爆発しないから助かってる。

「……ルーチェ様、クラル様がお呼びです」

ドアがノックされて、ドアの外から声が聞こえてきた。

「今行くよ」

そう返して、僕は魔法薬を作るための道具を片付け始める。失敗した魔法薬は、八咫烏にでもあげるか。

失敗した魔法薬の入った瓶と杖を片手に、僕は部屋を出た。



『主人、良く調合を失敗しますね』

クラル様と話をした後、僕は広い庭で大きな八咫烏に失敗した魔法薬を与えていた。

「……仕方ないよ。魔法薬を研究してるんだもん」

『それはいい事です。まぁ……その処理係は、私なんですけどね?』

そう言って、八咫烏は失敗した魔法薬を飲み始める。

「……いつも思うんだけどさ。失敗した魔法薬を飲んで、不味くないの?効果がないとはいえ……普通の魔法薬でも苦いのに」

『……そんなことはありませんよ。私にとっては、ただの水です』

「そっか……」

一気に失敗した魔法薬を飲む八咫烏を見つめて、僕は苦笑した。
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