転生したら、魔王の側近でした
『……主人。この館の近くに誰かがいます』

八咫烏は、そう言って辺りを見渡す。

「近くに人が？ここは、森の奥だし……結構な数のモンスターが潜んでるから、来るのは難しいんだけど……まぁいいや」

僕は、正門に向かって歩き始めた。魔王討伐をしようとする勇者を名乗る人たちだったら、追い払わないといけないし……。

「……ここから先は通させん！」

正門の外から、門番の声が聞こえてくる。僕は、扉を軽く叩いた。

「……リル。何事だ」

僕が扉越しに問いかけると、門番であるリルは「じ、実は……」と返ってくる。

「お前が魔王か！良く聞け！！俺らは、魔王を討伐するために派遣された勇者だ！」

……やっぱり、勇者か……とりあえず。

「……リル。そいつらを通せ」

「ル、ルーチェ様！？良いのですか？」

「良い。勇者とやらの実力が見たいんだ。ここの庭は広いし、壊れてもまた直せばいいだけだ」

僕がそう言うと、扉が開いた。そこには、剣を構えた赤髪に黄色の目の男の子と白い杖を手にした白髪に緑目の男の子がいる。

「……早く入って来てよ」

2人にそう言うと、2人は辺りを警戒しながら中に入って来た。2人が中に入ると、扉は閉じられる。
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