転生したら、魔王の側近でした
「僕は、闇属性の魔法が大の得意なんだ。だから、呪文を唱えなくても威力は出るよ」

アーサーの呟きに答えると、2人は同時に「え……?」と僕を見つめた。

ふふ、と笑いながらアーサーとティムを見る。

「攻撃して来ないの?」

杖をくるりと回しながら問いかけると、アーサーは剣を振りかぶった。アーサーの剣を杖で受け止めると、アーサーは驚いた顔をする。

「この杖は、僕が強化したものだ。簡単には折れないよ」

アーサーは大きく飛び退くと、ティムと何か話を始めた。何か作戦会議でもしてるんだろうか。

「……ルーチェ、お前に頼みたいことがある!」

ティムと話をしてたアーサーは、僕の方を向くとそう言う。

「……内容によるね。聞こうじゃないか」

僕の言葉が予想外だったのか、アーサーとティムは驚いた顔をした。

「俺らと一緒に、魔王を討伐してほしい!」

真剣な目で、アーサーは僕を見る。

「……それを、魔王の側近に頼むか?まぁいいや。詳しい話を聞かせて欲しい」

そう言いながら近づいてきたのはクラル様で、クラル様はアーサーとティムを見つめた。

「……クラル様?」

「ルーチェ。彼らは、今まで会ってきた勇者たちとは違う。話くらいなら聞く……こいつらを、僕の部屋に連れてくるんだ」

僕の方を見たクラル様は、それだけ言うと僕に背中を向けて歩き出す。
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