婚約者に売られたドン底聖女ですが敵国王子のお飾り側妃はじめました
めでたく開放されたイリムは、オディーリアを振り返ることもなく嬉々として天幕を出て行った。
レナートは長い脚を組み替えると、床に転がったままのオディーリアを見下ろした。
「……あまりいい男の趣味じゃないな」
「私が選んだわけではありませんし……」
思わずそう言い返してしまって、オディーリアははっと口をつぐんだ。
それを聞いたレナートは、くっくっと白い歯を見せて笑った。邪気のないその笑顔には彼の本質がよく表れているように思えた。
「言っておくが、この胸くそ悪い交換条件は俺が言い出したわけじゃないぞ」
「では、彼のほうが?」
オディーリアが問うと、レナートは苦笑まじりに片眉をあげてみせた。
「そうだ。とは……言わないほうがよかったか?」
「いえ、別に……」
彼にしてはよく頭が回ったものだと、オディーリアは感心しているくらいだった。聖女ひとりの命と王太子の命を交換する交渉に成功したのだ。上出来だろう。
レナートは長い脚を組み替えると、床に転がったままのオディーリアを見下ろした。
「……あまりいい男の趣味じゃないな」
「私が選んだわけではありませんし……」
思わずそう言い返してしまって、オディーリアははっと口をつぐんだ。
それを聞いたレナートは、くっくっと白い歯を見せて笑った。邪気のないその笑顔には彼の本質がよく表れているように思えた。
「言っておくが、この胸くそ悪い交換条件は俺が言い出したわけじゃないぞ」
「では、彼のほうが?」
オディーリアが問うと、レナートは苦笑まじりに片眉をあげてみせた。
「そうだ。とは……言わないほうがよかったか?」
「いえ、別に……」
彼にしてはよく頭が回ったものだと、オディーリアは感心しているくらいだった。聖女ひとりの命と王太子の命を交換する交渉に成功したのだ。上出来だろう。