婚約者に売られたドン底聖女ですが敵国王子のお飾り側妃はじめました
「疲れて見えたか?」
「はい。なんとなくですが……」
「勘がいいな。たしかにひどく疲れていた。だが、お前の顔を見たら回復したぞ」
そう言ってレナートは甘い笑みを浮かべる。その笑顔にオディーリアの心臓は小さくはねた。
(こういう現象は恋……なのかしら。よくわからない)
「王宮にはレナートのご両親が?」
オディーリアは聞いてみた。そういえば、これまで彼の口から家族について語られたことはなかった。
だが、彼はきっと両親に愛されて育っているのだろうとオディーリアは想像していた。彼の明るさは、陽のあたる道を歩んできた者特有のものだと思った。オディーリアにはないものだ。
レナートは特に気を悪くした様子もなく質問に答えてくれた。
「国王陛下……父は元気にしていたが、母はいない。亡くなっているからな」
「えっ。そうだったんですか? ご病気で? あっ、ごめんなさい……立ち入ったことを」
レナートはオディーリアの過去に必要以上に触れてはこない。そんな彼の思いやりを、ありがたく、嬉しく思うのに……自分は無神経なことを聞いてしまった。オディーリアは自分の言動を恥じた。
「はい。なんとなくですが……」
「勘がいいな。たしかにひどく疲れていた。だが、お前の顔を見たら回復したぞ」
そう言ってレナートは甘い笑みを浮かべる。その笑顔にオディーリアの心臓は小さくはねた。
(こういう現象は恋……なのかしら。よくわからない)
「王宮にはレナートのご両親が?」
オディーリアは聞いてみた。そういえば、これまで彼の口から家族について語られたことはなかった。
だが、彼はきっと両親に愛されて育っているのだろうとオディーリアは想像していた。彼の明るさは、陽のあたる道を歩んできた者特有のものだと思った。オディーリアにはないものだ。
レナートは特に気を悪くした様子もなく質問に答えてくれた。
「国王陛下……父は元気にしていたが、母はいない。亡くなっているからな」
「えっ。そうだったんですか? ご病気で? あっ、ごめんなさい……立ち入ったことを」
レナートはオディーリアの過去に必要以上に触れてはこない。そんな彼の思いやりを、ありがたく、嬉しく思うのに……自分は無神経なことを聞いてしまった。オディーリアは自分の言動を恥じた。