婚約者に売られたドン底聖女ですが敵国王子のお飾り側妃はじめました
「いいよ。素直になれ」

 オディーリアの変化を感じ取ったレナートは、彼女への愛撫をより一層深めていく。甘く、優しく、ときに激しく、オディーリアの身体に火をつけていく。彼に翻弄されるたびに、オディーリアの身体は淫らに波打つ。

「あぁ。レナート、レナート!」

 レナートは色気あふれる表情で、彼女の額に口づけた。

「血のつながりとは恐ろしいな。今の俺はきっと母と同じ顔をしている。お前に溺れて、狂い死にそうだ」

 ささやくように言うと、一気にオディーリアを貫いた。彼の熱がオディーリアの全身を巡る。身体の一番深いところで、彼とひとつになれたことを感じる。しっとりとした水音と、ベッドのきしむ音だけが響く空間は、現実と夢との境目を曖昧にしていく。
 この幸せな時間がもし夢ならば、永遠に覚めなくてもいい。オディーリアはそう願いながら、ぎゅっときつく目をつむった。


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