婚約者に売られたドン底聖女ですが敵国王子のお飾り側妃はじめました
(相手がレナートだと、どうしてこんなにも心が弾むんだろう)
オディーリアが胸の高鳴りを不思議に思っているところに、ひとりの少年がやってきた。
「レナート兄様!」
十五、六歳だろうか。面差しにまだ子供らしさを残している。
「ジルか。元気にしてたか?」
「はい!」
ジルと呼ばれた彼の頭をレナートはくしゃりと撫でた。ハッシュが横からオディーリアに説明をしてくれる。
「末の王子のジル様です」
「あぁ、仲がいいという弟さん」
ジルはくるりとオディーリアを振り返ると、恭しくお辞儀をしてみせた。
「第八王子のジルと申します。噂のアテナにお目にかかれて光栄です」
レナートがオディーリアの肩を抱いて、ジルに言う。
「初めて迎えた俺の妻だ」
寄り添う兄夫婦の姿を見て、ジルは楽しげにクスクスと笑う。
「もちろん知っていますよ。兄様が女性を迎えたことも、その女性がとんでもない美女であることも王都中の噂になっていますから。ほら、他の兄様方の視線もアテナに釘付けでしょう」
ジルが視線で示した先には身分の高そうな男達がいた。どうやら、あの一団がレナートの兄王子達らしい。
オディーリアが胸の高鳴りを不思議に思っているところに、ひとりの少年がやってきた。
「レナート兄様!」
十五、六歳だろうか。面差しにまだ子供らしさを残している。
「ジルか。元気にしてたか?」
「はい!」
ジルと呼ばれた彼の頭をレナートはくしゃりと撫でた。ハッシュが横からオディーリアに説明をしてくれる。
「末の王子のジル様です」
「あぁ、仲がいいという弟さん」
ジルはくるりとオディーリアを振り返ると、恭しくお辞儀をしてみせた。
「第八王子のジルと申します。噂のアテナにお目にかかれて光栄です」
レナートがオディーリアの肩を抱いて、ジルに言う。
「初めて迎えた俺の妻だ」
寄り添う兄夫婦の姿を見て、ジルは楽しげにクスクスと笑う。
「もちろん知っていますよ。兄様が女性を迎えたことも、その女性がとんでもない美女であることも王都中の噂になっていますから。ほら、他の兄様方の視線もアテナに釘付けでしょう」
ジルが視線で示した先には身分の高そうな男達がいた。どうやら、あの一団がレナートの兄王子達らしい。