婚約者に売られたドン底聖女ですが敵国王子のお飾り側妃はじめました

「お前のこの身体は300デルじゃ安すぎるくらいだな。追加料金を払ってやってもいい。ーーあの男の命だ」
「えっ……」
「今すぐ追いかければ間にあう。あいつを殺して欲しいか?」

 どこか楽しげな様子でそう提案するレナートに、オディーリアはゆるゆると首を振った。

「それは元婚約者への情けゆえか?」
「いいえ。彼の命より、あなたが手にしている美しい長剣を美しいままにしておくほうが価値がある。そう思ったからです」
「なるほど。同感だ」

 レナートは構えた長剣を眺めながら、そう言った。
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