婚約者に売られたドン底聖女ですが敵国王子のお飾り側妃はじめました
「なにかあったんですね」
オディーリアはレナートの身体を押し返しながら言う。このまま甘い愛撫が続けば、きっと彼に抗えなくなってしまう。そう思ったからだ。
レナートは驚いたように目を見張ったかと思うと、苦虫をかみつぶしたような顔でぼやく。
「お前は、嫌なところで勘が鋭いな」
「いつも見てるから。レナートの様子がおかしいことくらいわかります」
「かなわないな」
レナートはあきらめたように小さく息を吐いた。
「あんまり嬉しくない知らせがある」
オディーリアはなにも言わず彼の言葉の続きを待った。レナートは端的に答えた。
「また戦だ。相手は……ロンバルだ」
苦しげな顔で言うレナートを気遣うように、オディーリアは薄く微笑んだ。
「前にも言ったように私は故国になんの思い入れもない薄情者です。だからレナ―トが気に病む必要はありません」
もちろん生まれた国を嫌っているわけではない。ロンバルは気候に恵まれた美しい国だ。あの美しい国土が荒れ果ててしまうところを見たいわけではない。それに、またレナートが傷を負うかもしれない。それがたまらなく怖くもある。
(でもレナートは将軍だもの。それを恐れていたら、彼のそばにはいられない)
オディーリアはレナートの身体を押し返しながら言う。このまま甘い愛撫が続けば、きっと彼に抗えなくなってしまう。そう思ったからだ。
レナートは驚いたように目を見張ったかと思うと、苦虫をかみつぶしたような顔でぼやく。
「お前は、嫌なところで勘が鋭いな」
「いつも見てるから。レナートの様子がおかしいことくらいわかります」
「かなわないな」
レナートはあきらめたように小さく息を吐いた。
「あんまり嬉しくない知らせがある」
オディーリアはなにも言わず彼の言葉の続きを待った。レナートは端的に答えた。
「また戦だ。相手は……ロンバルだ」
苦しげな顔で言うレナートを気遣うように、オディーリアは薄く微笑んだ。
「前にも言ったように私は故国になんの思い入れもない薄情者です。だからレナ―トが気に病む必要はありません」
もちろん生まれた国を嫌っているわけではない。ロンバルは気候に恵まれた美しい国だ。あの美しい国土が荒れ果ててしまうところを見たいわけではない。それに、またレナートが傷を負うかもしれない。それがたまらなく怖くもある。
(でもレナートは将軍だもの。それを恐れていたら、彼のそばにはいられない)