婚約者に売られたドン底聖女ですが敵国王子のお飾り側妃はじめました
レナートの話によると、舞台となるのはロンバルでもナルエフでもなく二国間の国境付近
にある小国ティラだという。
「小国ながらずっと独立を保っていた国なんだが」
「うん、ティラは知ってる。小さいけど歴史のある国だったのに」
とうとうどちらかの傘下にくだらなくてはならないときがきてしまったのだろう。ティラの運命に思いを馳せながらも、オディーリアの頭には別の思惑が浮かんでいた。
(今度の戦争にイリムは出てくるだろうか)
彼はプライドが高い。前回ナルエフに敗れたことは汚点と思っているはずだ。雪辱を果たすために
この戦にも出てくるかも知れない。そうであれば、オディーリアにはまたとない好機だ。
(イリムに会えるかもしれない!)
オディーリアは早速レナートに頼みこんだ。
「私もティラに行かせてください。戦いの女神が従軍すれば、兵士の士気も高まると思います」
「いや……お前が来てくれるのはありがたいんだが……妙にやる気だな。なにか裏があるのか」
「そ、そんなことは!」
勘のいい彼にすべて見透かされてしまうような気がして、オディーリアは慌てて顔をそむけた。できればレナートには内密にことを進めたい。彼は自分のことには無頓着なくせに、オディーリアに対しては過保護なのだ。
にある小国ティラだという。
「小国ながらずっと独立を保っていた国なんだが」
「うん、ティラは知ってる。小さいけど歴史のある国だったのに」
とうとうどちらかの傘下にくだらなくてはならないときがきてしまったのだろう。ティラの運命に思いを馳せながらも、オディーリアの頭には別の思惑が浮かんでいた。
(今度の戦争にイリムは出てくるだろうか)
彼はプライドが高い。前回ナルエフに敗れたことは汚点と思っているはずだ。雪辱を果たすために
この戦にも出てくるかも知れない。そうであれば、オディーリアにはまたとない好機だ。
(イリムに会えるかもしれない!)
オディーリアは早速レナートに頼みこんだ。
「私もティラに行かせてください。戦いの女神が従軍すれば、兵士の士気も高まると思います」
「いや……お前が来てくれるのはありがたいんだが……妙にやる気だな。なにか裏があるのか」
「そ、そんなことは!」
勘のいい彼にすべて見透かされてしまうような気がして、オディーリアは慌てて顔をそむけた。できればレナートには内密にことを進めたい。彼は自分のことには無頓着なくせに、オディーリアに対しては過保護なのだ。