婚約者に売られたドン底聖女ですが敵国王子のお飾り側妃はじめました
 オディーリアの予感は的中し、戦はロンバル側の敗戦で終結した。
 ナルエフの首都、アーリエに凱旋するレナートの軍勢にオディーリアは同行させられていた。戦場を離れてからもう一週間は経っていた。

「その細腕で馬に乗れるとは意外だな」

 駿足な自身の愛馬に遅れることなくついてこれるオディーリアの騎馬技術にレナートは舌を巻いた。

「馬に乗れずに戦場にくるほど阿呆ではありません」
 
 これまでも散々、戦場を連れ回されてきたのだ。騎馬の技術など自然と身についた。そもそも、〈白い声〉を持つ聖女は、ロンバルでは後方支援の兵士と同じような扱いなのだ。

「このスピードなら、明日にはアーリエに到着できる。遅れるなよ」

 スピードの保持は問題ないが……なんのために自分がナルエフの首都に行かねばならないのか。オディーリアは首を傾げた。
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