婚約者に売られたドン底聖女ですが敵国王子のお飾り側妃はじめました
(そういうことじゃなくて……レナートみたく強く優しい人間になりたいって意味なのに)
オディーリアは少しむくれてみせたが、すぐに「まぁいいか」と表情を緩めた。レナートの子供のような嫉妬はかわいくて嬉しい。それに、彼がそのままでいいと言ってくれるのならそれでいいのだ。レナートも言うように彼以外の人間に好かれる必要などないのだから。
オディーリアはレナートに出会って、ようやく自己を肯定してあげることを覚えた。自分を愛することはとても難しい。でも、自分を愛することができて初めて人は幸せになることができるのだ。
(もしかしたら、イリムは私の恩人なのかもしれない)
彼の愚かな行動がなければ、レナートと出会うことなどないまま、一生を終えただろうから。
宿営地で荷をおろしたレナートはすぐさま兵の様子を見に行った。ひと足先に現地入りしていたマイトがそれを出迎える。
「練兵はどうだ?」
「まぁまぁですよ。今回、ちょっと新入りもいるのでそのあたりが気になるとこではありますが」
マイトの視線の先にいる一団はたしかに動きが揃っておらずぎこちない。
オディーリアは少しむくれてみせたが、すぐに「まぁいいか」と表情を緩めた。レナートの子供のような嫉妬はかわいくて嬉しい。それに、彼がそのままでいいと言ってくれるのならそれでいいのだ。レナートも言うように彼以外の人間に好かれる必要などないのだから。
オディーリアはレナートに出会って、ようやく自己を肯定してあげることを覚えた。自分を愛することはとても難しい。でも、自分を愛することができて初めて人は幸せになることができるのだ。
(もしかしたら、イリムは私の恩人なのかもしれない)
彼の愚かな行動がなければ、レナートと出会うことなどないまま、一生を終えただろうから。
宿営地で荷をおろしたレナートはすぐさま兵の様子を見に行った。ひと足先に現地入りしていたマイトがそれを出迎える。
「練兵はどうだ?」
「まぁまぁですよ。今回、ちょっと新入りもいるのでそのあたりが気になるとこではありますが」
マイトの視線の先にいる一団はたしかに動きが揃っておらずぎこちない。