婚約者に売られたドン底聖女ですが敵国王子のお飾り側妃はじめました
「た、助けてくれ。俺はそそのかされただけだ。お前の兄たちにな」
「クリストフとバハルか」
「そうだ。最初に声をかけてきたのはクリストフと名乗る王子だ。俺はお前らの兄弟喧嘩に巻き込まれただけ」
レナートは哀れみまじりの冷たい眼差しをイリムにそそぐ。
「別に俺は個人的な恨みでお前をとらえたわけじゃないぞ。ナルエフ軍の将軍として、敵の総大将を殺ろうとしているだけだ。お前が死ねば、この戦は終わりだからな」
「や、やめろ……」
レナートはイリムに近づくと、容赦なくその喉元に剣先を突きつけた。
「もっとも、個人的な恨みがないこともないがな。俺の愛する女にしたひどい仕打ちとかな」
レナートはオディーリアに視線を送ってよこした。それで初めて、イリムはオディーリアがこの場にいることに気がついたようだ。
「オディーリア! 助けてくれ。婚約者だろう? 俺はお前を忘れたことはなかった。いつかこの男から取り戻すつもりだったんだ。信じてくれ」
「クリストフとバハルか」
「そうだ。最初に声をかけてきたのはクリストフと名乗る王子だ。俺はお前らの兄弟喧嘩に巻き込まれただけ」
レナートは哀れみまじりの冷たい眼差しをイリムにそそぐ。
「別に俺は個人的な恨みでお前をとらえたわけじゃないぞ。ナルエフ軍の将軍として、敵の総大将を殺ろうとしているだけだ。お前が死ねば、この戦は終わりだからな」
「や、やめろ……」
レナートはイリムに近づくと、容赦なくその喉元に剣先を突きつけた。
「もっとも、個人的な恨みがないこともないがな。俺の愛する女にしたひどい仕打ちとかな」
レナートはオディーリアに視線を送ってよこした。それで初めて、イリムはオディーリアがこの場にいることに気がついたようだ。
「オディーリア! 助けてくれ。婚約者だろう? 俺はお前を忘れたことはなかった。いつかこの男から取り戻すつもりだったんだ。信じてくれ」