婚約者に売られたドン底聖女ですが敵国王子のお飾り側妃はじめました
終章
戦は終結し、オディーリアはレナートとともに王都アーリエに帰還した。国民は熱狂と歓喜の声で迎えてくれた。オディーリアを女神と崇める声はますます高まり、もう王都ではその名を知らぬ者はいない。
レナートを次期国王にと推す声もいっそう大きくなり、その声に後押しされる形で国王は自身の後継者をレナートにすることを発表した。レナート自身も国王になる決意を固めたようだった。
「クリストフが王になりたいのなら、俺は将軍としてサポートするのでもよいと思っていた。だが、私利私欲のために敵と通じるような卑怯者にこの国の未来を委ねるわけにはいなかない」
断罪されたクリストフは恨みがましい目でレナートを睨みつけた。
「お前自身がそう思っていても、周囲はそれを許さなかっただろう。お前が生きている限り俺は王にはなれない。だから、後悔はない」
「バハル兄上を仲間に引き入れたのは自身が疑われないためか?」
「そうだ。お前はバハル兄上のことは微塵も疑ってなどいなかったからな」
レナートはうなだれているバハルに視線を向ける。バハルはレナートにとって信頼できる兄だったはずだ。彼の痛みが伝わってくるようで、オディーリアの胸もぎゅっと締めつけられた。
レナートを次期国王にと推す声もいっそう大きくなり、その声に後押しされる形で国王は自身の後継者をレナートにすることを発表した。レナート自身も国王になる決意を固めたようだった。
「クリストフが王になりたいのなら、俺は将軍としてサポートするのでもよいと思っていた。だが、私利私欲のために敵と通じるような卑怯者にこの国の未来を委ねるわけにはいなかない」
断罪されたクリストフは恨みがましい目でレナートを睨みつけた。
「お前自身がそう思っていても、周囲はそれを許さなかっただろう。お前が生きている限り俺は王にはなれない。だから、後悔はない」
「バハル兄上を仲間に引き入れたのは自身が疑われないためか?」
「そうだ。お前はバハル兄上のことは微塵も疑ってなどいなかったからな」
レナートはうなだれているバハルに視線を向ける。バハルはレナートにとって信頼できる兄だったはずだ。彼の痛みが伝わってくるようで、オディーリアの胸もぎゅっと締めつけられた。