婚約者に売られたドン底聖女ですが敵国王子のお飾り側妃はじめました
「もういい」

 きっぱりとした口調でそう言い捨てたのはクリストフだった。

「俺もバハル兄上も負けたんだよ。それ以上になにを語ることがある」

 引き立てられていくふたりの背中を、レナートは最後まで見送っていた。
 彼が事前にスパイを見破ったことでナルエフに直接的な損害は出なかった。そのためふたりは死罪だけは免れることとなった。王籍剥奪のうえで離宮で幽閉という刑がくだされた。
 レナートは正式に王太子の身分を賜ることになり、即位式典も開催されることが決まった。

 
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