婚約者に売られたドン底聖女ですが敵国王子のお飾り側妃はじめました
「もしかして……有効利用って……」
オディーリアがつぶやくと、レナートは悪びれずに言った。
「妻になってくれ」
「えぇ!?」
「といっても、別に正式なもんじゃない。一応ひとりは妻を迎えたってことで、話を合わせてくれりゃそれでいいから」
「はぁ……」
「おぉ、ハッシュ」
レナートは混乱しているオディーリアをよそに、廊下の向こうから近づいてきた背の高い男に向かって片手をあげた。
「お帰りなさいませ、殿下。ご無事のお戻りなによりです」
男はレナートの前まで来ると、恭しく頭を垂れた。怜悧な顔立ちに銀縁の眼鏡がよく似合う。長い黒髪は後ろでひとつに束ねていた。
彼はちらりと、不躾ともいえる視線をオディーリアに投げかけた。
「先に戻ったものから殿下が女性を連れてくるとはうかがっておりましたが……彼女が?」
「そうだ。オディーリアと言う。ロンバルの王太子様から譲り受けた女性だからな、丁重に扱えよ」
オディーリアがつぶやくと、レナートは悪びれずに言った。
「妻になってくれ」
「えぇ!?」
「といっても、別に正式なもんじゃない。一応ひとりは妻を迎えたってことで、話を合わせてくれりゃそれでいいから」
「はぁ……」
「おぉ、ハッシュ」
レナートは混乱しているオディーリアをよそに、廊下の向こうから近づいてきた背の高い男に向かって片手をあげた。
「お帰りなさいませ、殿下。ご無事のお戻りなによりです」
男はレナートの前まで来ると、恭しく頭を垂れた。怜悧な顔立ちに銀縁の眼鏡がよく似合う。長い黒髪は後ろでひとつに束ねていた。
彼はちらりと、不躾ともいえる視線をオディーリアに投げかけた。
「先に戻ったものから殿下が女性を連れてくるとはうかがっておりましたが……彼女が?」
「そうだ。オディーリアと言う。ロンバルの王太子様から譲り受けた女性だからな、丁重に扱えよ」