婚約者に売られたドン底聖女ですが敵国王子のお飾り側妃はじめました
「うん。わざわざ嫌いな女を城に迎えたりしないでしょ。あの人、女なんて選び放題だもん」
「そういうもの……でしょうか」
「うん。レナート様はオデちゃんが好き! で、私達はお友達! オッケー?」
「は、はい」

 クロエの勢いにおされて、ついうなずいてしまったが……友人とはこんな簡単なノリで作れてしまうものなのだろうか。
 友人……ずっと憧れていた響きだ。

(う、嬉しい……かも知れない)

 礼を言わなくてはならないだろう。頼まれたこととはいえ、嫌われ者の自分なんかと友人になってくれたのだから。

「あの、クロエさん!」

 オディーリアは勇気を出して、クロエに呼びかけた。

「クロエって呼んで! お友達でしょ、オデちゃん」

 クロエはにんまりと笑う。

「……クロエ」

オディーリアの声は消え入りそうに小さい。

「なぁに?」
「あの、ありがとう。友達になってくれて……」
「こちらこそ!」
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