婚約者に売られたドン底聖女ですが敵国王子のお飾り側妃はじめました
彼はレナートと名乗った。身なりから察するに、ナルエフ軍のなかでもかなり高位の将校だろう。
「ほら、生きていただろう。約束通り、さっさと俺を開放してくれ」
レナートに向かって吠えるその声は、オディーリアにも聞き覚えがあった。
(イリム……)
オディーリアの婚約者である彼は、手足を縛られた状態で拘束されていた。腰の短剣に手をかけたナルエフの兵達が彼の周囲を取り囲んでいる。
おそらく、戦いの最中に敵兵につかまり捕虜になったのだろう。
馬鹿のひとつ覚えのように開放しろとわめき散らすイリムとは対照的に、レナートはゆったりとした動作で立ち上がり椅子に腰かけた。
金色の瞳が、じっとオディーリアを見据える。
「ほら、生きていただろう。約束通り、さっさと俺を開放してくれ」
レナートに向かって吠えるその声は、オディーリアにも聞き覚えがあった。
(イリム……)
オディーリアの婚約者である彼は、手足を縛られた状態で拘束されていた。腰の短剣に手をかけたナルエフの兵達が彼の周囲を取り囲んでいる。
おそらく、戦いの最中に敵兵につかまり捕虜になったのだろう。
馬鹿のひとつ覚えのように開放しろとわめき散らすイリムとは対照的に、レナートはゆったりとした動作で立ち上がり椅子に腰かけた。
金色の瞳が、じっとオディーリアを見据える。