婚約者に売られたドン底聖女ですが敵国王子のお飾り側妃はじめました
四章 自覚
 レナートの容態が落ち着くのを待って、オディーリア達はアーリエへと戻ってきた。
 幸い、彼は順調に回復しており心配していた後遺症も問題なさそうだった。……利き腕も、以前通り動かせるようになった。

「なんかすっかり恒例って感じになったよね。オデちゃんのお悩み相談会!」
「もう寒くて中庭には出れないけどね~。あー、でもやっぱりこうして甘いお菓子を食べられる日常は素晴らしいわ。戦争なんてこりごりよ」
「同感だけど、それだと僕は無職になっちゃうしなぁ」

 マイトとクロエは焼き菓子をつまみつつ、楽しそうにお喋りを続ける。平和な日々を嬉しく思うのは、オディーリアも同じだった。

「戦争処理でレナート様やハッシュは忙しそうにしてるけどね」
「ねー。今日も誘ったんだけど、ふたりとも王宮に呼ばれてるから無理だって」
「うげっ。僕、王宮はほんと無理~あの堅苦しい空気、いるだけで気分が悪くなるよ」
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