ここは会社なので求愛禁止です! 素直になれないアラサー女子は年下男子にトロトロに溺愛されてます。
 二十時を過ぎているからか電車内は空いていて座席に座る事ができた。家まで三駅だがやはり座れると脚がものすごく楽になる。
 松田の降りる駅は会社から一駅なので五分程で着いてしまう。
 今までなら一駅も長く感じでいたが今日は違う。こんなにも時間が経つのが早く感じた事はない。
 
「あ、松田君着いたわよ」

「水野さんの家まで送りますよ」

「いいわよ、遠回りになっちゃうでしょ」

「いいんですよ、俺がまだ一緒に居たいから」

 嬉しかった。本当はもっと一緒に居たいと思っていたのに、どうしても素直に気持ちを伝えることが出来ない。
 私がもっと若くて素直な女の子だったら、まだ一緒に居たい、とか言えたのかな、と思ってしまう。
 三十歳と言う歳の壁はやはり私には大きく感じてしまう……
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