ここは会社なので求愛禁止です! 素直になれないアラサー女子は年下男子にトロトロに溺愛されてます。
 仕事モードになると彼女は一変しバリバリのキャリアウーマン化する。
 この会社にやっと入社出来た時一番最初に彼女の事を探した。彼女の姿が目に止まった時、仕事を淡々とこなす彼女の姿が美しすぎて俺の周りだけ時間がゆっくり流れているのかと思うくらい彼女の姿だけが鮮明に俺の目に写った。
 なんとか木島部長に教育係を水野さんにして下さいと頼み込んだお陰で今がある。

 俺も大分仕事を覚えてきたので彼女と仕事を共にする機会が少なくなってきた。自分の成長は嬉しいがずっと新人のままでもよかったなぁとか思ってしまう。

 データの入力を済ませ時刻を確認すると十八時。
定時時刻は過ぎているが大分早めに仕事を切り上げられそうだ。
 チラッと彼女の方を見ると眉間に皺を寄せながらパソコンと格闘している。

 静かに席を立ち休憩室でミルクティーとブラックコーヒーを買い、自分のデスクに戻るとまだ彼女はパソコンと格闘していたので、ソッとミルクティーを彼女のデスクの上に置いた。

「え、松田君買ってきてくれたの? ありがとう」

 たまに素直な彼女が凄く可愛い。

「いいえ、そろそろ終わりそうですか?」

「ええ、あと二十分くらいかな」

「じゃあ外のコンビニで待ってますね」

「……はい」

 周りに聞こえないよう小声で約束をし、先に鞄を持ち会社を出た。
 会社近くのコンビニに入り雑誌を立ち読みしながら彼女を待つ。そんな時間も全く苦じゃない。
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