ここは会社なので求愛禁止です! 素直になれないアラサー女子は年下男子にトロトロに溺愛されてます。
 食べ終わったお皿を二人で並んで洗い、借りてきたお笑い総特集のDVDを見ることにした。
 おつまみに買ってきたポテトチップスや柿の種、サキイカなどをローテーブルに広げ缶チューハイで乾杯する。凄くおじさんくさいおつまみの種類だがまたそれが良い。
 ふとローテーブルの上に置かれている眼鏡が目にはいる。
 眼鏡をかけている松田も好きだが、松田の綺麗な黒い瞳が私は好きなのでコンタクトの時の松田も好きだ。ソファーの隣に座る松田の横顔を眺める。缶チューハイに口をつけゴクンと一口飲むと動く女の私にはない喉仏、鼻筋のスッと通った綺麗な横顔に釘付けになってしまう。

「ん?」

(やばっ、バレたっ……)

「いや、今日は眼鏡じゃやいんだなって思って」

「あぁ、今日はコンタクトにしたんです、眼鏡だと邪魔でしょ?」

「邪魔?」

 松田の雰囲気が変わった。
 そう、キスをする直前のような……
 ゆっくりとわたしの頭の後ろに松田の大きな手が周りゆっくりと顔が近づいてくる。

「あ……ン……」

 たっぷりと私の唇を堪能した彼の唇は満足そうに離れていった。

「キスするのに邪魔でしょ?」

「なっ!!」

 ふいっと顔を背けた。いかにも私は照れていませんと装いテレビを見ながら缶チューハイに口をつける。
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