ここは会社なので求愛禁止です! 素直になれないアラサー女子は年下男子にトロトロに溺愛されてます。
 洗面所で顔を洗い身だしなみを整えていると「おい、誠起きろ!」と大きな声で誠を起こしている松田の声が聞こえた。思わず笑みが溢れてしまう。
 リビングに戻ると既に誠は起きていて布団もしっかりと畳まれていた。
 チンっとトースターの音がし、パンが焼けた事を知らせる。

「……誠さん、おはよう御座います」

「あー、おはよ」

 誠はやはり、なんとなくだが松田に対する態度と私に対する態度は違うように感じる。何というか……やっぱり一番最初に見た時のあの敵意の目は見間違いじゃなかったのかもしれない。

「できたぞ〜」

 パンの香ばしい匂いと共に松田が三人分の朝食をローテーブルに並べる。
 こんがり焼いた食パンにたっぷりのバター、目玉焼きには焼いたベーコンとサラダ付き。ご丁寧に飲み物に野菜ジュースまで用意されている。
 三人でローテーブルを囲い「頂きます」と手を合わせ食べ始めた。
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