ここは会社なので求愛禁止です! 素直になれないアラサー女子は年下男子にトロトロに溺愛されてます。
「ねぇ、真紀さんは今日暇なの?」

 急に誠に話しかけられて驚きを隠せなかった。だってついさっきまで敵意を向けられていたと思っていたから。

「えっ、ま、まぁ日曜日で仕事も休みだけど……」

「ふーん、じゃあ今日は私の買い物に付き合ってくれない? 女同士で買い物したかったのよ〜!」

「は!? 二人きりとかダメに決まってんだろ! 真紀は今日も俺と一緒にいるんだから」

 あーだこーだと二人の口論が始まり、終わる気配が感じ取れない。

「あー、じゃあもう三人で行きましょうよ!」

「え……真紀本気で言ってます?」

「私も誠さんと仲良くなりたいし、ね? いいでしょ?」

 明らかに嫌だと顔に出ている松田だが、じゃあ三人でなら、と渋々OKを出してくれた。

 三人とも身支度が済んだ頃には午前十時を回っていた。松田の車に乗り込み一番近いショッピングモールに向かう事に、ただ気になるのは助手席は私じゃなくて真っ先に誠が乗ってしまった事。
 やっぱり……そう言うことなのかな? と後部座席から仲良さそうな二人の背中を見てモヤモヤしていた。
 また一度は溢れた黒い何かが一滴、一滴と溜まっていく。
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