ここは会社なので求愛禁止です! 素直になれないアラサー女子は年下男子にトロトロに溺愛されてます。
「最近は殆ど資料はデータ化してるけど、昔のはまだ紙のままだからこの部屋にしまってあるのよ。松田君に頼んだやつは昔の資料と照らし合わせた方が正確だから、ささっと見ちゃうわね」

 松田のつくった資料は完璧と言えるほど要点をまとめていて見やすかった。これなら年配の上司らにも分かりやすいだろう。

「うん、大丈夫ね、とっても見やすい資料になってるわ」

「頑張ったからご褒美くれませんか?」

「いいわよ、何がいい? コーヒー?」

「いらない、こっちが食べたいです」

 突然の出来事で目を見開いたまま時が止まる。
 狭い資料室に私と松田の吐息音だけが聞こえる。
食べられてしまうかのように唇を蝕まれ、昨日の今日だからかキスだけで身体が疼く。私の身体はどうしてこんなにイヤらしく反応してしまうようになってしまったんだろう。

「ふっ……んん……」

「ご馳走様でした」

 ペロリと自身の唇を舐め満足そうに笑みを浮かべる。

「会社でするなんてっ! 誰かに見られたらどーするのよ!」

「その時はその時ですよ、社内恋愛が禁止な訳じゃないし」

「……もう! 戻るわよ!」

 高鳴る胸を落ち着かせるようにフゥと息を吐き足早にデスクに戻った。
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