ここは会社なので求愛禁止です! 素直になれないアラサー女子は年下男子にトロトロに溺愛されてます。
 仕事が終わり外を歩けばクリスマスの音楽が耳に入り、どこのお店もクリスマス仕様のレイアウトに変わっている。あっという間に十二月になり、本当に歳を取ると時の流れが早い、とよく聞くけどそれは本当だ。
 電車内もポスターなどがクリスマスデザインに変わっていた。

「クリスマスか……」

「クリスマスがどうかしたの?」

「いや、子供の頃は施設でパーティーとかしたけど、大人になってからめっきりだなぁと思って」

「じゃあ今年は私とクリスマスパーティーする?」

 話の流れから自然に誘えた……と思う。内心断られたらどうしようかと心臓がドキドキしている。素直にクリスマス一緒にいたいって言えたらいいのに……
 どうしても恥ずかしくて言えない。三十路の女がクリスマスとか気にしてるってどうなの!? とか思われたら恥ずかしいにも程がある!

「いいんですか!? 俺、真紀と過ごしたいって思ってたんです」

 パァと子供のようなあどけない満面の笑顔で喜んでいる松田を見てホッと胸を撫で下ろす。

(嫌がられなくて良かった……)

 スマホでカレンダーを確認するとちょうどクリスマスイブは金曜日。

「じゃあ仕事終わったらレストランでも予約しておく?」

「たまにはいいですね、じゃあ俺がレストラン予約しておきますよ」

「じゃあ、お願いしようかな」

「レストランの後はもちろん俺ん家に泊まりますよね?」

「う、うん……」

「良かった、じゃあ着いたんでまた、気をつけてくださいね」

 松田のアパートは会社から一駅なのであっという間に着いてしまう。
 自分の降りる駅までの二駅、ゆらゆらと、電車に揺られながら松田に渡すプレゼントはなにがいいだろう、レストランには何を着て行こうかな、なんて考えていたらあっという間に降りる駅に着いていた。
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