ここは会社なので求愛禁止です! 素直になれないアラサー女子は年下男子にトロトロに溺愛されてます。
 グツグツと野菜と鶏肉を煮込みうどんを茹でる。
最後に卵を入れれば完成だ。
 卵を入れるタイミングで彼女がお風呂から戻ってきた。
 俺の用意しておいたモコモコの部屋着に身を包み、頬を赤く染め「この部屋着、わざわざ準備してくれてたの?」と目を細め嬉しそうに微笑む。
「でもちょっと、若すぎない? 恥ずかしいんだけど……」なんて言いながら照れている。
 あぁ、笑顔が見れてよかった。

「そうです、俺の家に泊まった時に着れると思って買っておいたんですけど早速役立ちましたね、すっごく似合ってます、可愛い」

「っつ……本当にありがとう」

「もう少しでうどんができますから、座って待っててください」

 卵が半熟になったところで火を止める。
出来上がったうどんをダイニングテーブルに座って待つ彼女のもとに持って行く。
 一口たべて「美味しい」と呟いた。
 それがなにより嬉しい一言だ。

 無理矢理聞くよりも彼女から話をしてくれるのを少しだけ待つ事にした。
 きっと恥ずかしがり屋の彼女の事だから中々言い出さないかもしれない。だから少しだけ待つ。
 お互い無言でうどんをすする音だけが部屋に響く。
 食べ終わり食器を片している間は彼女に生姜入りの紅茶を出し、ソファーでくつろいでいてもらった。少しでも心が落ち着いてくれる事を祈って紅茶を入れたつもりだ。
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