ここは会社なので求愛禁止です! 素直になれないアラサー女子は年下男子にトロトロに溺愛されてます。
 十二時になったので松田と一緒に会社を出て今日もまた中華料理店に行く事にした。
 二人でランチに会社に出ても上司と部下の関係だからか誰一人と不思議に思う人はいないのだろう。特に何も言われる事なく会社を出た。

「久しぶりにこの店来ましたね、初めて来た日は俺が入社二日目とかでしたもんね」

「そうね」

 メニューを開きながら何にしようか悩む。今日は麻婆セットに決め、松田も「俺も麻婆豆腐にしようと思ってました!」と言うので二人とも麻婆豆腐セットを頼んだ。

 私はこのランチ時間で松田に聞きたい事があってランチに誘ったのだ。誠の事、誠に対してどのように思っているのか松田の気持ちを知りたい。

「そういえば松田君と誠さん、家族みたいな存在って言ってたけど、本当に大学までずっと一緒だったんだね」

「ですね、てか誠が勝手に同じ学校をいつも受験してるんですよね、それで社会人になるまでずっと一緒でした」

「本当にずっと一緒だ、大切で特別な関係だね」

「まぁ最初の頃は金魚のフンみたいにくっついてきて正直ウザいと思った事もありましたけど、でもやっぱり今までずっと一人だったから一緒に居てくれる人がいるってのは内心嬉しかったですね、誠にはなんだかんだ救われて来ましたよ」

 二人の良い関係性を目の当たりにして目の奥がツンとなる。
 もしかするとだが松田は誠が自分を恋愛対象として好きな事を全く気づいていないのかもしれない。勝手に同じ学校って、国立なんて大変だし生半可な気持ちじゃついていけないよね……
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