ここは会社なので求愛禁止です! 素直になれないアラサー女子は年下男子にトロトロに溺愛されてます。
 誠は目尻を下げ少し寂しげな表情で俺の背中にいる彼女を眺めていた。

(も、もしかして誠も真紀の事好きになっちゃったとかじゃないだろうな……)

 どうか勘違いであって欲しいと願いを込めて誠にストレートに聞いてみた。

「もしかしてとは思うけど誠って真紀の事……その」

「まさか好きなのかって聞きたいの? それは無いね、むしろ生意気でムカつくくらい。でも……人としては好きかな」

「そっかそっか! 二人がいつの間にか仲良くなってて嬉しいよ」

「まぁね……ねぇ、大雅は私の事……好き?」

「当たり前だろ? 好きじゃなきゃこんないい歳した大人になっても一緒にいないよ、誠は家族同然なんだからさ」

 誠は夜空を見上げ、まるで星を手で取ろとしているみたいに両手を上げ「あ〜! 大雅スキー!」と大きな声で叫んだ。

「おまっ、酔ってんだろ!?」

「もちろん酔ってますよ〜、大雅スキスキスキスキ〜真紀さんも少しスキ〜」

「ったく、ほら車着いたから早く乗れ」

 後部座席にそっと彼女を降ろし横に寝かせると少し位置が悪かったのか、ンンッと身体をモゾモゾさせフィットした位置が見つかったのかまたスースーと寝始めた。なんだろう。酔っているせいか彼女の頬は薄紅色に染まっており、スーツも乱れている。時たま漏らす声が色っぽ過ぎて、いつもスーツ姿はキッチリしている彼女が乱れているのを見ると無性に抱きたい欲が湧き上がる。もっと乱したい……
< 208 / 232 >

この作品をシェア

pagetop