ここは会社なので求愛禁止です! 素直になれないアラサー女子は年下男子にトロトロに溺愛されてます。
 松田の耳が私の口元に近づき松田の柔らかい髪の毛が私の顔にフワリと触れた。

「ん? 聞こえない」

「なっ、だ、だから楽しみって言ったのっ!」

 ハハハと笑う松田。これは絶対聞こえてたやつだ……。

「ったく、早く戻って仕事終わらせないとヤバいわよ!」

「はーい、ちゃちゃっと終わらせてラブラブデートしましょうね」

「今言わない!!!」

 今日はクリスマスイブだけあって他の社員も予定がある人が多いのか部内はいつもより殺気立っていて、ゆっくり歩く人はほぼ居ない。殆どの社員が小走りまではいかない速さでスタスタと歩いている。
 もちろん私と松田もその中の一人。
 涼子も子供達とクリスマスパーティーをする為に朝から鬼の形相で仕事をこなしている。
 この前は子供の欲しいプレゼントがどこも売り切れだ! と大騒ぎしていて私と松田もネットで探しまくった。サンタさんも大変だな……と改めて思い、いつか私も……なんて思ったりもした。
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