ここは会社なので求愛禁止です! 素直になれないアラサー女子は年下男子にトロトロに溺愛されてます。
「ねえ、水野さん」

「な、何」

「こっち向いてください」

「嫌だ」

「照れてます?」

「照れてない!!!」

「んにゃっ」

 両頬を捉えられグイッと松田の方に顔が向く。
この両手の犯人はもちろん松田だ。

「にゃ、にゃにふんのよ」

 確実にタコみたいな不細工な顔になっているし、上手く喋れない。

「水野さん、好きだよ」

「……」

 途端に足の爪先から頭のてっぺんまで電撃が走ったような感覚になる。
 身体が、頭がビリビリする。

「はい、お終い」

 松田がパッと両手を離した途端ドアが開き他の社員たちも出勤し始めた。
 松田が触っていた両頬が燃えるように熱い。
 好き……か……
 私なんかのどこがいいのか理解しかねない。
松田の前で醜態だって晒してるのに……
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