強面お巡りさんはギャルを愛しすぎている

「おはようございます」

 綺麗に巻けたゆるふわ髪を揺らしながら、息を切らしてフロアに駆け込んだ。
 なんとか間に合った。朝から色んなことがあり、三十分前には社内にいるようにしていたのに今日は始業時間ギリギリだった。

「小鳥遊先輩おはようございます! ギリギリなんて珍しいですね」
「おはよう木下ちゃん。ちょっと寝坊しちゃって」

 前髪を直しながら鞄から社員証を取り出し、タイムレコーダーにかざした。ピロンと音が鳴り画面を見ると八時五十九分。足を止めると額にかいた汗がさらに噴き出た気がした。まだ五月半ばというのに朝の気温はだいぶ暑くなってきている。

 社員証を首から下げ、席に着くと木下ちゃんが慌ただしく資料を束ねてホチキス留めをしていた。この前複合機のステープル機能が便利だと教えたのにマイペースの彼女は覚えていないようだ。
 綴じている資料に朝会資料の文字が見えた。
< 20 / 96 >

この作品をシェア

pagetop