強面お巡りさんはギャルを愛しすぎている

 木下ちゃんが私のリボンを真っすぐに直すと顔を赤く染めた。痕? と疑問に思いながら木下ちゃんの目線でハッとした。今朝コテで火傷をしていた。髪も下ろしているしカジュアルジャケットの下はハイネックのノースリーブサマーニットを着ていたからすっかり忘れていた。

「先輩今朝寝坊したって言ってましたけど、もぉ~~こんな痕付けられて!」

 「オオカミ警察官♡」なんて木下ちゃんが騒ぐと、なんだなんだと女性陣が寄って来た。

「あーこりゃ、キスマークね」
「ち、違います! 今朝コテで火傷してッ!」
「いいのよ、いいのよ。新婚なんだもの。でもこれからは見えないところに付けるように旦那さん言うのよ」
「だ、だから違うんですぅ~~」

 半泣きの私の横で羽鳥さん達男性陣も泣き崩れていた。なんで羽鳥さん達も泣いてるんだ! とツッコむ気力は残っていなかった。

 会議終了後、私は急いでトイレに駆け込んだ。私服はハイネックだが何かの拍子に見えたら嫌なので火傷の痕に絆創膏を貼った。
 しかしトイレから戻った頃にはフロア全体に誤解が広がっていて、結局一日中仕事に集中できなかった。
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