強面お巡りさんはギャルを愛しすぎている

「じゃ、高橋さん一言お願いします」
「はい。おはようございます。朝のお忙しい時間に皆様のお時間を頂戴し、ありがとうございます。私事で大変恐縮ですが、この度結婚をいたしました。新姓は|小鳥遊≪たかなし≫です。仕事は今まで通り続けていきますので、どうぞこれからもよろしくお願いいたします」

 一礼し、顔を上げると泣いている男性陣の一人と目が合った。眉がピクリと動き顔が引き攣りそうになりながらもなんとか持ち堪えた。
 正直、アイドルとかで推しが結婚したからって男泣きする男は嫌いだ。押しが結婚したのなら相手の幸せを喜ぶべきなのでは?

 挨拶を終えると榊さんから花束が渡され、たくさんの拍手で祝された。
 ほんのりと香る花の甘い香りに鼻を寄せた。

 (錦上添花とはこのことね)

 品行方正、容姿端麗、会社ではみんなのマドンナである私、|高橋菜摘≪たかはしなつみ≫はつい先日晴れてから大好きな人と結婚し、小鳥遊菜摘となった。
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